強制開閉式コック 2024/8/24

 
1.なんかガス欠っぽい現象が出る

燃料コックの漏れとかが漸く治まったと思ったら、なんか走ってる時に軽くガス欠っぽい現象が出る。

アクセルを ON/OFF している時は感じないんだけど、パーシャルにして一定速度で走っていると、エンジンの回転が微妙に上下する。丁度メインからリザーブに切り替える前の、あの詰まった様な「ガソリン落ちてきてない?」って感じ。

タンクキャップの空気穴の詰まりかもと思ってキャップを緩めて見てもあまり変わらず、燃料コックを直結(PRI)にすると安定する感じだけど、よく分からない。

アクセルを大きく開いている時じゃなく、閉じ気味の時に発生するので、これは負圧コック、多分ダイヤフラムが固いかバネが重くて、負圧が低い時にバルブが開ききってないんじゃないかなと推測。
先ずはダイヤフラムとバネを、手持ちの中では柔らかい奴に変えたんだけど、良くなった感じはあるものの、もう一つスッキリしない。

こう言うのって地味に気になるので、いっその事、強制開閉式のコックに改造してしまう事にした。

 
2.解析

大分前に、負圧バルブ部分を潰すのと、切り替えつまみの出っ張りを削って向きを変えられる様にすれば、強制開閉式に改造できるという情報をネットで見た記憶があるんだけど、探しても出てこない。

なので自力解析。

  • メインからのラインが中央の穴と負圧バルブに繋がっている。
  • リザーブからのラインは、右の穴に繋がっている。
  • キャブレターには、負圧バルブと下の穴が繋がっている。
  • 負圧バルブはバネ圧で中央からの穴を蓋していて、負圧が掛かるとその蓋が開く。

つまみには溝が2つ切られていて、この溝によって穴を繋げ、ガソリンの流れる経路を変えている。

強制開閉式のコックなら、単純にメインとリザーブからのラインをキャブレタ側に繋ぎ替えるだけなんだけど、負圧バルブがあるので、ちょっとややこしい繋ぎ方になってる。

まず、つまみを下にした ON (メインからキャブレタ)の状態。

メインからキャブレタへのラインは負圧バルブ部分を介して最初から繋がっているので、それぞれの穴はどこにも繋がっていない。エンジン OFF では負圧バルブが閉じているので、ガソリンはキャブレタに行かない。

強制開閉にするときはこの状態が OFF として使える。

次が、つまみを左にした PRI (プライマリ、直結)の状態。

リザーブからのラインとキャブレタが直結されて、エンジンの ON/OFF に関係なくガソリンがキャブレタに流れる。

強制開閉にするときは、これを RES(リザーブ)状態に使えるな。

つまみを上にした RES(リザーブからキャブレタ)の状態。

リザーブのラインが中央の穴に繋がり、そこから負圧バルブを経由してキャブレタに繋がる。

リザーブからメインのラインにガソリンを流している。

強制開閉にするときは、これは OFF 状態と同じかな。でも、メインとリザーブが塞がれて無くて、直結になってるのがちょっと気持ち悪い。

そして、これがキモ。

通常はストッパが邪魔で回らない右向きにしてやると、メインから来ている中央の穴とキャブレタに行く穴が直結される。

これが強制開閉にするときに、ON 状態として使える。


と言う事で、やる事は2つ。負圧バルブ経由でメインとキャブレタが直結されているのを切り離す事と、つまみのストッパを切り取って、右向きに出来る様にしてやる事。

まずこれが、つまみを右にして ON(メインと直結)の状態。

メインから来ている中央の穴とキャブレタに行く穴が直結される。

次が、つまみを下にして OFF の状態。

穴はどことも繋がらない。

ノーマルならメインから負圧バルブに燃料が流れるけど、負圧コックが蓋されているので、どこにも流れない状態になる。

最後に、つまみを左にして RES(リザーブ)の状態。

ノーマルだと PRI(直結)の状態で、リザーブラインからキャブレタに直接ガソリンが流れる。

 
3.改造

中古のコックを買って、キャブクリーナで綺麗にする。

ビラーゴ250用として売ってる安い奴を改造してもいいかも。

中央がメインからのラインで、負圧バルブによって開閉する。

下がキャブレタに行く穴。

負圧バルブを殺す方法だけど、単に負圧ホースを外すだけでも、バネ圧で負圧バルブが閉じっぱなしになるので目的は果たせる。

でもそれでは何かの要因でバルブが開くという恐れがあるので、きちんと塞いでしまう事にした。

という訳で、先ずは中央の穴を金属用のエポパテで埋める。

下の穴は、そのままでエポパテを押し込むとキャブレタへのラインが詰まってしまうので、耐ガソリンのゴム板で適当に蓋を作って、エポパテが入りこまない様にする。

そして完全に埋める。

これで負圧バルブを殺す処置は終わり。

また、インマニの負圧取り出し口を塞がないと二次エアを吸う事になるんだけど、インマニ側のニップルに何か蓋を探してはめるかどうするか考えたんだけど、カバー部分にある負圧パイプへの穴をエポパテで塞いで、ホースは繋いだままにする事にした。

負圧バルブのフランジを外して、カバーを取り付け。

この樹脂部品を入れずに直接カバーだけ付けてもいいんだけど、ネジがはみ出すのが嫌でこうした。

つまみはもとのストッパーを切って、ピンバイスで穴を開けて、M1.2だったかな、のネジをねじ込み、その周囲にパテを盛って新しいストッパを作った。

ストッパを削り取ってしまうだけでも良いんだけど、一応ちゃんと左右で止まった方が良いかなと思って、細かい作業。

改造コックに改造つまみをはめ込んで。

押さえを付けて完成。

文字入れのいい方法が無いか探したんだけど、ガソリンに耐えられるのはウレタン塗料ぐらいしかなく、結局 Dymo テープを貼る。うん、 Dymo 最強(笑)

 
4.取付け

取り付けた。

燃料ホースの途中にL型ジョイントを入れて曲げているのも、もしかしたらガソリンの流れを阻害してるんじゃないだろうかと気になっていたので、燃料ホースもセル用の純正パーツに交換した。(キック用の部品はもう出ない。)

ところがこの純正ホースが社外品に比べて太い。
内径は同じ 6mm でも、デイトナやキジマは外径が 10mm、それに対して純正は 11mm 。
ホースをパイプに挿すときつくてホースクリップが入らないので、急いで 11mm のを注文したよ。

当たり前だけど、コックを開くときちんと流れ初め、閉じるときちんと止まる。

自動車道も含めて試走してきたけど、パーシャル状態で息をつく様な現象は出なくなった。

取りあえず良かった良かっただけど、長年負圧コックだったので、乗る時に開く、降りる時に閉じるを忘れそうで仕方ない(笑)