メインハーネスの作り直し 2024/5/26

 
1.ショートした?!

翌日は雨の予報だし、ちょっと走りに行こうと家を出て百メートル、坂を上がるべくスロットルを捻ってエンジンがズドドドドと言い始めた瞬間に、お尻の左下辺りでパン!と破裂音がしてエンジン停止、全電源喪失。

何が起こったのか分からず、パイロットスクリューを弄った直後なので、まさかバックファイヤを起こしてエンジンが逝ってしまったとかじゃないよな等々、青くなりながら家まで押して帰る。

取りあえずキックをゆっくり踏んでみて圧縮を確認した所、それは問題無し。

ヒューズも切れてないし、バッテリを外して電圧を確認したけど問題無し。
音のした辺りのハーネスを確認したけど、ショート痕らしき物は見当たらず、恐る恐るキーを捻ってみると、問題無く電源は入る。そしてエンジンも問題無く掛かる。

なんだ?

原因は分からないけど、現象的にはどこかがショートして電圧が落ちた事で、メイン電源切断用リレーが OFF になって全電源喪失になったと考えられる。

怪しそうな所、レギュレータの端子が焼けた時に新しい線に繋ぎ直した所とか、ハーネスがボルトや車体に当たっている所とかのテープを剥いてみたけど異常は無く、そういった部分をチューブで保護して試走してみた所、問題無し。

大丈夫そうだし、それで行くかどうか考えたんだけど、以前からハーネス回りのトラブルが色々起こってるし、やっぱりこの機に作り直してしまおうと決心。

 
2.さてやるぞ

廃棄されたエヴァの骨格じゃ無いぞ。

大分前に手に入れた中古のメインハーネスをベースに作り直す。

先ずはハーネステープを剥いて、必要なケーブルの洗い出し。
特に赤黒青黄以外は、と言うよりもう赤黒以外はオートバックスやホームセンターでも手に入らなくなってきてるので、ネットで買うしか無いし。

必要なのは次の色のケーブル。手に入らなかった色は、別ので代用した。

太さ長さ備考
2sq3mメイン電源、レギュレータ
2sq,1.25sq,075sq適量アース線
1.25sq2mオルタネータとレギュレータ間
2sq2mアクセサリ電源の主線
1.25sq2mアクセサリ電源の分配
赤/黄1.25sq2mポジション、ウィンカ、ホーンへの電源
黒/白0.75sq3mキルスイッチとCDI間
緑/黄0.75sq2mブレーキスイッチとストップランプ間
青/赤0.75sq2mスモールランプ、テールランプ
空色0.75sq2mニュートラルスイッチ
1.25sq2mイグニションコイル
濃緑0.75sq3m右ウィンカ ※緑で代用
濃茶0.75sq3m左ウィンカ ※黒/茶で代用
青/白0.75sq1mポジションランプ
茶/白0.75sq1mウィンカリレー出力

一本ずつ地道に交換していく。分岐部分は表面を剥いて、スプライン端子をカシメてビニールテープで絶縁。
カプラから端子を引っこ抜いて、カプラボディは再使用(同形状のカプラを探すのが大変なので)。1つのカプラ(4.おまけ参照)を除いて端子は 250型と110型の平端子で、後はギボシ。
ギボシは基本的に防水スリーブを使った。

作業を始めてから、保護チューブが硬化してて新しいケーブルが通らないので、デイトナのハーネスチューブ(内径 13Φ)をバイクワールドで買ってきた。
このチューブも以前はオートバックスやホームセンタに売ってたんだけど、今はコルゲートチューブしか売ってない。

サービスマニュアルの配線図と実体を合わせて確認しながら作業したんだけど、サービスマニュアルに幾つか誤植があるね。

老眼と戦い、膝の痛みに耐えながら作業して、完成。

 
3.交換

先ずは現行のハーネスを外す。

外したハーネスと作ったハーネスを比べると、保護チューブの位置とか線を出す向きとかが少し違ったので、折角綺麗に巻いたハーネステープだけど、剥いて修正。

仮止めだけにしておいて、合わせてからハーネステープを巻くんだった。

曲げたり捻ったりしながら位置合わせして、ハーネスをフレームに這わせる。

そして、追加で作った SPII 用の配線他を、現物合わせしながらカットしてコネクタ付けて接続。

SPII はキルスイッチでの停止ができないので、今まではアクセサリ電源でバッ直からのリレーを ON にして、それがキルスイッチで OFF にもなる様に回路を作ってたんだけど、アクセサリ電源を1本専用に分岐させて、単にそれにキルスイッチで OFF になるよう、リレーを噛ませるだけの単純な物にした。

できたできた。
燈火系も問題無く、エンジンもちゃんと掛かる。

ところが、暫くして、前に暗電流対策で取り付けたメイン電源をカットするリレーと仕組みを変えた SPII 用のリレーが悪さを行う事が判明。

前から、キックを下ろすとその際の発電でリレーが ON になると言うのは分かってたんだけど、メインリレーがちゃんと ON にならず、バッテリーは繋がらないままで、発電機からの電流だけでエンジンが動き続ける現象が発生。

超低回転のままで不安定に回り続けていて、キルスイッチでも止まらないという状況で、何これ怖いと思ってたんだけど、どうやらリレーのコイルで ACC がアースに落ちて導通し、それで ACC 〜 SPII に電流が流れてエンジンが掛かり、キルスイッチで SPII の電源をカットするリレーを ON にして止めようとしても、一旦エンジンが止まって ACC が OFF になった途端にそのリレーが復帰するので、その瞬間にまたエンジンが爆発して回転が続くという状態になったっぽい。

前は SPII のリレーも ACC が ON にならないと導通しなかったんだけど、それをノーマルで ACC を導通、キルスイッチ ON で切断の形式に変更したのが影響したようだ。

これでリレーがおかしくなったのか、その後正常に電源が入らなくなったりしたので、暗電流対策に取り付けたリレーユニットは取り払い、アースカット用の防水スイッチだけにした。

 
4.おまけ

ヘッドライトケースの中のカプラは、基本的には 250型か 110型の平端子を使ってるんだけど、一つだけ丸い端子を使っているコネクタがある。

こいつは矢崎総業の「YPC非防水4極M側コネクタ」って奴。

でも、ヘッドライトケース内のカプラは全部端子の数が違うし、どうしてこれだけ丸い端子にしたのかよく分からない。

もう一つ、ウオタニ SPII のコイルに接続するカプラは、古河電工の 090型 RFW 防水2極メスカプラ。
ノーマルのコイルは CDI から電流を送るだけで、アース側はボディアースなんだけど、SPII のコイルは ACC が繋がって、SPII 本体側でアースに落とすという方式。なので線が2本いる。

それと、SPII の本体と接続するためのカプラは、矢崎総業の 250型 CN(A) 非防水3極メスカプラ。

同じ様なカプラでも微妙に形状(特にロック部分)が違うので、ややこしい。